基礎知識2026年10月28日

「AIでまとめました。確認お願いします」をなくす。出す前の「3行の確認メモ」と、受け取る側の返し方

AIで作った書類に確認メモを付けて出す社員と、要点だけを見て受け取る上司のイラスト

部下や同僚から、AIで作った資料が「AIでまとめました。確認お願いします」と届く。読んでみると、数字の根拠が分からない、どこまで本人が確かめたのかも分からない――。AIが職場に広がるほど、こうした場面は増えています。この記事では、AIで作った書類を社内外に出す前の「確認のルール」を、出す側と受け取る側の両方から紹介します。中心になるのは、書類に添える「3行の確認メモ」です。

起きていること

  • 確認が受け取る側に回る
  • どこまで確かめたか分からない
  • 上司の確認が増える

決めること

  • 出す前の「3行の確認メモ」
  • 書類の重さで確認を変える
  • 受け取る側の返し方

変わること

  • 確認の責任がはっきりする
  • 上司は要点だけ見ればよい
  • 部下の確かめる力が育つ

「AIでまとめました」で困ること

AIを使うこと自体は、悪いことではありません。困るのは、確かめる仕事が、作った人から受け取った人へ移ってしまうことです。受け取った上司は、どこが本人の言葉で、どこがAIの推測なのか分からないまま、全文を読み直すことになります。

どこまで確かめたか不明数字や日付を元の資料と照らしたのか、AIの出力のままなのか分からない
中身が薄い文章は整っているが、本人の考えや現場の事情が入っていない
上司の時間が増える確認が上司に集まり、AIで速くなったはずの仕事が、上司の机で止まる

ルールがない職場では、受け取る側が「AIを使うな」と言いたくなります。でも、それでは便利な道具を手放すことになります。必要なのは禁止ではなく、誰が、どこまで確かめてから出すかの決まりです。

出す側のルール:3行の確認メモ

AIを使って作った書類を出すときは、本文の先頭か送り状に、次の3行を添えることにします。これだけで、受け取る側は「どこを見ればよいか」がすぐに分かります。

確認メモの行書く内容書き方の例
1. AIに任せた所AIが作った部分「本文の下書きと表の整理をAIで作成」
2. 自分で確かめた所元の資料と照らし合わせた部分「数量・日付は日報と照合済み。工事名は契約書で確認」
3. まだ確かめていない所判断が要る所、裏付けがない所「次回の日程は先方に未確認。金額は課長の判断が必要」
書類の一番上に3行の確認メモを付けて上司に渡し、上司がその3行だけを見てうなずいている図
書類の先頭に「3行の確認メモ」。受け取る側は要点だけを見ればよい
ここがポイント

3行目の「まだ確かめていない所」を書けることが、いちばん大切です。「全部確かめました」より、「ここは確かめていません」と正直に書かれた書類のほうが、受け取る側はずっと安心して使えます。書けない場合は、まだ出す段階ではないということです。

書類の重さで、確認の深さを変える

すべての書類を同じ深さで確かめる必要はありません。書類の「重さ」で、確認のしかたを3段階に分けておくと、手間をかけるべき所に集中できます。

書類の重さ例出す前の確認
軽い(社内の連絡)社内メモ、打合せの日程調整、議事録の下書き本人が読み直す。確認メモは1行目だけでもよい
中くらい(社内の判断に使う)週報、社内の報告書、稟議の下書き3行の確認メモを付ける。数字は元の資料と照合
重い(社外に出る・お金が動く)お客様への報告書、見積の説明、契約に関わる文書3行の確認メモに加え、もう1人が確認してから出す
AIで作った書類が確認の依頼と一緒に次々に届き、上司が全部を読み直して困っているイラスト
ルールがないと「確認お願いします」と、AIの書類が上司に集まる。
部下が確認メモを付けて書類を出し、上司は要点だけを見て、落ち着いて仕事をしているイラスト
ルールを決めると部下が確かめてから出す。上司は確認メモを見るだけ。

受け取る側のルール

ルールは、出す側だけでなく、受け取る側にも必要です。受け取る側の反応しだいで、ルールが根づくかどうかが決まります。

失敗例確認メモがない書類を、黙って全部読み直す

避け方「3行の確認メモを付けて、もう一度出してください」と返す

失敗例AIを使ったこと自体をとがめる

避け方使ったことは認めたうえで、「どこを確かめたか」を聞く

失敗例「まだ確かめていない所」が書いてあると叱る

避け方正直に書いたことをほめ、確かめ方を一緒に考える

とくに3つ目が大切です。確かめていない所を書いたら叱られる職場では、誰も正直に書かなくなり、確認メモが形だけのものになってしまいます。

AIへの頼み方の例

確認メモを作るのにも、AIが使えます。下書きを作らせたあとに、次のように頼むと、自分が確かめるべき所の一覧が出てきます。最後に確かめて3行を書くのは、あくまで本人です。

AIへの頼み方(例) いまあなたが作った下書きについて、次の3つに分けて一覧にしてください。 1. 私が渡した資料に書いてあったことを、そのまま使った所 2. 資料に書いていないことを、あなたが補ったり推測したりした所 3. 数字・日付・固有名詞など、元の資料と照らし合わせて確かめるべき所 それぞれ、下書きのどの文かが分かるように書いてください。

受け取る側が、届いた書類の確かめどころを整理したいときにも使えます。

AIへの頼み方(受け取る側) 部下から届いた報告書の下書きです。上司として確認するときに、特に見るべき点を5つまで挙げてください。 ・数字や日付の裏付けが必要な所 ・社外に出すと誤解されそうな言い回し ・判断や約束を含んでいる所 (ここに報告書を貼る。個人情報と金額は伏せる)

社内ルールにするときのコツ

まず1つの書類から始める:全社一斉ではなく、たとえば「お客様への報告書」だけで3行の確認メモを試し、1か月ほどで見直します。見本を見せる:上司や推進役が、自分の書類に確認メモを付けて見せるのがいちばんの近道です。

社内のAIルールに書き足す:入力してよい情報などを決めた社内ルールがあれば、そこに「AIで作った書類を出すときの決まり」として加えます。ルールを作るときの考え方は、関連記事「生成AIの社内ルール、まず決めたい7つのこと」も参考にしてください。

よくある質問

AIを使ったことは、必ず書かないといけませんか?

社内の軽い連絡まで書く必要はありませんが、社内の判断に使う書類や社外に出す書類では、AIに任せた所を明らかにしておくのがおすすめです。受け取る側が確認の重点を決めやすくなります。

お客様に出す書類にも、確認メモを付けるのですか?

確認メモは社内向けのものです。お客様に出す書類では、社内の確認の段階で確認メモを付けて回し、確認が終わったら確認メモを外してから送ります。

確認メモを書くのが面倒だと言われたら?

3行で済むこと、受け取る側の読み直しが減って全体では早くなることを伝えましょう。AIに「確かめるべき所の一覧」を作らせれば、書く手間もほとんどかかりません。

AIを安心して使える社内ルール、一緒に作りませんか

無料診断では、御社でAIを使っている書類をうかがい、確認のしかたや社内ルールの案を一緒に整理します。全国対応、対面でもオンラインでも。

3分で削減時間を試算する(無料)

あわせて読みたい