コラム2026年10月15日

生成AIの社内ルール、まず決めたい7つのこと。A4一枚で、情報漏えいを防ぎながら社員が安心して使える会社へ

A4一枚のAI利用ルールと、情報を3段階に分ける信号のイラスト

「AIを使わせたいが、情報漏えいが心配」。経営者の方から、最もよく聞く悩みのひとつです。かといって全面禁止にすると、社員が個人のスマホでこっそり使い、かえって危ないことになりかねません。この記事では、中小企業が最初に決めておきたい生成AIの社内ルールを、A4一枚にまとめる方法として紹介します。

会社
H商事/地方の卸売会社
規模
従業員20名
困りごと
ルールがないまま、一部の社員が個人の無料版AIに見積やお客様の名前を入力していたことが分かった
対象の業務
AIの社内ルール情報の取り扱い社内勉強会
使ったもの
A4一枚の社内ルール、AI「Claude(クロード)」の法人向けプラン、30分の社内勉強会

困っていたこと

  • ルールがなかった
  • 個人のAIに社内情報
  • 使ってよいか分からない

やったこと

  • 使うAIを会社で決めた
  • 情報を3段階に分けた
  • A4一枚にして勉強会

変わったこと

  • 安心して使える社員が増えた
  • 迷ったときの相談先ができた
  • 情報の扱いがそろった

禁止でも、放置でもなく「ルール」を

H商事では、AIの話題が社内で出始めたころ、特にルールを決めていませんでした。ところが、ある社員が個人のスマホの無料版AIに、お客様の名前が入った見積を貼り付けていたことが分かりました。

情報が外に出るおそれ個人のアカウントでは、入力した内容の扱いを会社が管理できない
ルールがない何を入れてよいか分からず、使う人と使わない人に分かれる
禁止にすると使われない全面禁止にすると、便利さを知った社員が隠れて使ってしまう

大切なのは、「禁止」でも「放置」でもなく、安心して使える範囲を会社が決めることです。ルールがあることで、社員は迷わず使えるようになります。

まず決めたい7つのこと

最初から完璧なルールを作る必要はありません。中小企業なら、次の7つを決めておけば十分なスタートになります。

決めることH商事の例
1使ってよいAI会社が契約した法人向けプランだけを使う
2入れてはいけない情報お客様の個人情報、口座やカードの番号、社外秘の契約書
3加工すれば入れてよい情報名前や社名を伏せた見積・文面
4AIの答えの確認社外に出す前に、必ず人が内容と数字を確認する
5社外に出すときの注意他社の文章や画像をそのまま使わない。事実を確かめる
6困ったときの相談先総務の担当者(迷ったら入れる前に聞く)
7見直しの時期半年に1回、使い方を聞いて見直す

情報は「信号」の3段階で分ける

いちばん迷うのが「何を入れてよいか」です。細かい一覧を作るより、信号のように3段階で考えると、社員が自分で判断しやすくなります。

AIに入れる情報を、入れない・加工して入れる・そのまま入れてよい、の3段階に分けるイラスト
赤は入れない、黄は加工して、青はそのまま
赤入れない

お客様の個人情報、口座・カード番号、社外秘の契約書など

黄加工して入れる

名前や社名を「A社」「Bさん」に置き換え、金額をぼかしてから

青そのまま入れてよい

公開済みの情報、一般的な文章の下書き、自社の商品説明など

A4一枚のルール例

H商事では、次のような内容をA4一枚にまとめ、社内の掲示板と共有フォルダに置きました。

AI利用ルール(例) 1.AIは、会社が契約した法人向けプランだけを使います。個人のアカウントで仕事の情報を入れないでください。 2.赤の情報(お客様の個人情報、口座・カード番号、社外秘の契約書)は入れません。 3.黄の情報は、名前や社名を伏せてから入れます。 4.AIの答えは、社外に出す前に必ず自分で確認します。数字と固有名詞は特に注意します。 5.他社の文章や画像をそのまま使いません。 6.迷ったら、入れる前に総務の担当者に相談します。 7.このルールは半年ごとに見直します。
ここがポイント

ルールは短いほど守られます。細かい例外は書かず、「迷ったら相談」で受け止めるのがコツです。相談された内容をためておけば、次の見直しのときに役立ちます。

導入の進め方(5ステップ)

  1. 今の使い方を聞く隠さず話せる場に
  2. 使うAIを決める法人向けプランへ
  3. A4一枚にまとめる7つのことを決める
  4. 勉強会で伝える30分で十分
  5. 半年ごとに見直す相談内容を反映
ルールがないまま、個人のスマホのAIにお客様の名簿を入力してしまう社員のイラスト
これまでルールがなく、個人のスマホのAIに仕事の情報を入れてしまう。
社内ルールに沿って、安心してAIを使う社員のイラスト
AI導入後会社のAIを、ルールに沿って安心して使う。迷ったら相談する。

H商事では、ルールを作ったあと30分の勉強会を開き、「信号」の考え方と実際の使い方を説明しました。それまで「使ってよいのか分からない」と様子を見ていた社員も、安心して使い始めるようになりました。

よくある失敗

失敗例何十ページもある分厚いルールを作る

避け方A4一枚にまとめ、細かいことは「迷ったら相談」にする

失敗例ルールを配るだけで説明しない

避け方30分でよいので勉強会を開き、実際に使って見せる

失敗例一度作ったら見直さない

避け方AIの機能は変わり続けるため、半年ごとに見直す

本記事は一般的な考え方を紹介するものです。個人情報や機密情報の扱いは、業種や取引先との契約によって異なるため、必要に応じて専門家にご確認ください。

よくある質問

無料版のAIを仕事で使ってはいけないのですか?

無料版や個人向けのプランでは、設定によって入力した内容がAIの改善に使われることがあり、会社として管理もできません。仕事で使うなら、入力内容が学習に使われない設定の法人向けプランを会社で契約することをおすすめします。

ルールを作れば、情報漏えいは完全に防げますか?

完全には防げません。ルールに加えて、法人向けプランを使うこと、勉強会で考え方を伝えること、迷ったときに相談できる窓口を作ることを組み合わせて、危ない使い方を減らしていきます。

社員が少ない会社でもルールは必要ですか?

必要です。少人数の会社ほど、一人の使い方が会社全体の信用に関わります。A4一枚の短いルールで構わないので、最初に決めておくことをおすすめします。

※本記事の会社名・数値は、導入の流れを説明するためのモデルケースです。

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