基礎知識2026年10月19日

AIは危ない?中小企業のためのAIセキュリティとデータ管理情報漏えい・誤った判断・サイバー攻撃。3つの不安と、安全に使うための対策

鍵と盾に守られたAIを、会社の社員が安心して使っている様子のイラスト

「AIを使えば便利なのは分かる。でも、会社の情報が漏れたら? AIが勝手に間違った判断をしたら?」。AIの導入を考えながら踏み切れない会社から、いちばん多く聞くのがこの不安です。この記事では、中小企業が気にする3つのリスク――情報漏えい・AIの誤った判断・サイバー攻撃――について、AIの中でデータがどう扱われるのか、会社として何を決めておけば安全に使えるのかを、できるだけ具体的に整理します。

よくある不安

  • 入れた情報が漏れる・学習される
  • AIが勝手に判断して事故になる
  • AIを使ってハッキングされる

実際のところ

  • 法人向けプランは原則、学習に使われない
  • AIは決定権を持たせなければ「下書き係」
  • 狙われやすいのはAIよりアカウント

会社でやること

  • 法人向けプランを選び、入れない情報を決める
  • 最後は必ず人が確認して決める
  • 二段階認証と、AIに渡す文書の点検

導入が進まない理由は「AIの危険性」

AIの勉強会や無料診断でお話を聞くと、導入を止めている理由は「使い方が分からない」よりも、「何か起きたときが怖い」であることが多いです。不安は大きく次の3つに分かれます。

情報が漏れないかお客様の情報や見積の金額を入れて、外に出たり、AIの学習に使われたりしないか
AIが勝手に判断しないか間違った内容をそのまま送ってしまい、取引先や事業に損害が出ないか
ハッキングされないかAIを使った攻撃や、AIそのものを狙った攻撃に巻き込まれないか

どれも、もっともな心配です。ただし、それぞれ「どこにリスクがあり、どう防ぐか」は分かっています。仕組みを知って、会社としてのルールを決めれば、怖がりすぎずに使い始めることができます。

不安1 情報漏えい:入れたデータはどう扱われるか

まず押さえたいのは、同じAIでも、個人向けと法人向けでデータの扱いが違うことです。当社が使っているAI「Claude(クロード)」の場合、提供元のAnthropic社は、法人向けの製品(Claude for Work のTeam・Enterpriseプラン、API)について、入力や出力を原則としてAIの学習に使わないと公表しています。

確認すること個人向け(無料版など)法人向け(Team・Enterprise・API)
入力した内容が学習に使われるか設定によって使われる場合がある原則使われない(評価ボタンなどで送った分を除く)
利用者の管理各自のアカウント管理者がメンバーを追加・削除できる
会社としての設定できないメンバーのフィードバック送信を止めるなど、会社単位で設定できる
向いている使い方個人の勉強・お試し業務での利用

Anthropic社の公開情報(2026年10月時点)をもとに当社がまとめたものです。最新の内容は提供元のページでご確認ください。ほかのAIサービスも、個人向けと法人向けで扱いが分かれていることが多いので、導入前に必ず確認します。

提供元の会社そのものの管理体制も、判断材料になります。Anthropic社は、情報セキュリティの国際規格ISO/IEC 27001、AIの管理の国際規格ISO/IEC 42001、外部の監査によるSOC 2(Type II)などの認証を取得しています。

とはいえ、「法人向けだから何を入れても大丈夫」ではありません。入れない情報を会社として決めておくことが、いちばん確実な漏えい対策です。たとえば、マイナンバーや口座番号、パスワードは入れない。お客様の名前は「A社」などに置き換えてから入れる。この区分けは、生成AIの社内ルールの記事で詳しく紹介しています。

ここがポイント

いちばん危ないのは、会社が何も決めていないために、社員が個人のスマホの無料版AIに仕事の情報を入れてしまうことです。「禁止」にするより、法人向けプランを用意して「ここなら使ってよい」場所を作るほうが、情報は守られます。

不安2 AIが勝手に判断して、事業に損害が出ないか

AIはもっともらしい間違いをすることがあります。数字の読み違い、存在しない規則の説明、取引先の名前の取り違えなどです。ただし、AIが「勝手に」メールを送ったり、お金を動かしたりすることは、そういう権限を渡さない限り起きません。

中小企業がまず使うのは、文章や表の下書きをAIに作らせ、人が確認して使う形です。AIは「下書き係」、決めるのは人。この役割分担を崩さなければ、AIの間違いがそのまま外に出ることはありません。

  1. AIが下書き文章・表・要約
  2. 人が確認数字・固有名詞・判断
  3. 人が決めて送る送信・登録は人の手で

失敗例AIの回答を、確認せずにそのままお客様に送る

避け方送る前に、数字・日付・相手の名前だけは必ず人が見る

失敗例見積の金額や契約の判断をAIに任せる

避け方AIには根拠の整理や比較表まで。決めるのは担当者と上長

失敗例AIに社内システムへの書き込みやメール送信の権限を渡す

避け方最初は「読む・書き出す」だけ。自動化は、効果と安全を確かめてから一つずつ

総務省と経済産業省がまとめた「AI事業者ガイドライン」でも、AIを使う側の会社に対して、出力をそのまま信じず人が確認すること、目的に合った使い方をすることを求めています。人が確認する手順を業務の流れに組み込んでおくことが、AIの判断ミスへのいちばんの備えです。

不安3 AIによるハッキングやサイバー攻撃

「AIでハッキングされる」という不安には、2つの話が混ざっています。一つは攻撃する側がAIを使うこと、もう一つはAIそのものが狙われることです。

リスクどんなことが起きるか中小企業の対策
AIを使った詐欺メール自然な日本語の偽メールや、取引先を装った振込依頼が増える振込先の変更は電話で確認する。メールのリンクから入力しない
アカウントの乗っ取りAIのアカウントに入られ、やり取りの履歴を見られる二段階認証を必ず設定する。退職者のアカウントはすぐ止める
AIへの「仕込み」(プロンプトインジェクション)AIに読ませた文書やWebページに、AIへの指示が隠されている出どころの分からない文書をAIに読ませて、そのまま実行させない
自動化の暴走AIに広い権限を渡していると、誤った指示で大量の操作をしてしまうAIに渡す権限は必要な分だけ。重要な操作は人の承認を挟む

実際に被害が出やすいのは、AIそのものより人とアカウントの管理です。パスワードの使い回しをやめ、二段階認証を設定するだけで、多くの攻撃は防げます。AIを入れるタイミングは、会社のIT管理を見直すよい機会でもあります。

安全に使うための3つの守り

ここまでの対策を整理すると、守りは3つの層に分かれます。どれか一つではなく、3つを重ねることで、安心して使える状態になります。

AIを安全に使うための3つの守り(サービスの仕組み、会社のルール、人の確認)を表す図
守り1 サービスの仕組み/守り2 会社のルール/守り3 人の確認
守り中身誰が
1 サービスの仕組み法人向けプランを選ぶ。学習に使われない設定、管理者機能、認証の有無を確認する経営者・IT担当
2 会社のルール入れない情報、使ってよい業務、アカウント管理をA4一枚にまとめる経営者・総務
3 人の確認AIの下書きは、送る前・登録する前に必ず人が見る使う社員全員

導入前に確認したいチェックリスト

AIの導入を決める前に、次の項目を確認しておくと安心です。当社の無料診断では、このチェックを一緒に行い、御社に合った設定とルールの案をお渡ししています。

この記事は、AIのリスクと対策の一般的な考え方をまとめたものです。業種や扱う情報によって必要な対策は変わります。個人情報や機密情報を多く扱う場合は、社内の担当者や専門家と相談のうえで進めてください。

よくある質問

無料版のAIを仕事で使っても大丈夫ですか?

個人向けの無料版は、設定によって入力が学習に使われる場合があり、会社として利用者を管理することもできません。業務で使うなら、入力が原則学習に使われず、管理者がメンバーを管理できる法人向けプランをおすすめします。

AIに顧客情報を入れてもよいですか?

法人向けプランであっても、必要のない個人情報は入れないのが基本です。お客様の名前は「A社」などの記号に置き換える、マイナンバーや口座番号は入れない、といったルールを決めておくと安心です。

AIが間違えたときの責任は誰にありますか?

AIの出力を使って送ったり決めたりした場合、その結果は会社の判断として扱われます。だからこそ、送る前・登録する前に人が確認する流れを業務に組み込み、AIには下書きや整理を任せる使い方から始めることが大切です。

御社に合った安全な使い方を、一緒に決めませんか

無料診断では、使っている業務と扱う情報をうかがい、AIのプラン選び・入れない情報の区分・確認の流れまで、御社向けのルール案をお渡しします。全国対応、対面でもオンラインでも。

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