基礎知識2026年10月27日
相次ぐ情報漏えい、うちは大丈夫?AIで見直すパスワードと個人情報の管理自分たちでできる情報管理と、外部委託の見直しで費用も下げる方法
2026年秋、不正アクセスによる個人情報の漏えいが、大手企業を含む幅広い業種で相次いでいます。10月には、国家サイバー統括室・警察庁・個人情報保護委員会・IPA(情報処理推進機構)などが一斉に注意喚起を出し、企業に対策の強化を求めました。「うちは小さい会社だから狙われない」とは言い切れません。この記事では、AIを相棒にして、自社のパスワードと個人情報の管理を見直す方法と、外部に任せきりだったセキュリティの費用を見直す考え方を紹介します。
いま起きていること
- 大規模な漏えいが相次いでいる
- 政府も企業に対策の強化を要請
- 取引先経由で被害が広がることも
自分たちでできること
- 個人情報とアカウントの棚卸し
- パスワード管理ツールと二段階認証
- 社内ルールをAIで作って周知
費用の見直し
- 委託の中身をAIで読み解く
- 日常の管理は社内で
- 専門的な部分だけ専門家に
なぜ今、情報管理を見直すべきか
個人情報保護委員会によると、2025年度に民間事業者から届いた個人情報の漏えい等の報告は約1万7千件で、過去2番目の多さでした。原因は、不正アクセスだけでなく、メールの誤送信や、退職者による持ち出しといった「社内の管理」によるものも多くを占めています。
パスワードの使い回しどこかで漏れたパスワードで、社内のメールやクラウドに入られる
ルールがない顧客名簿や見積データを、誰がどこに保存しているか分からない
任せきりセキュリティは業者にお任せで、何をしてもらっているか分からない
大手企業の事故の多くは、特別な攻撃だけでなく、パスワードの管理や設定の不備がきっかけになっています。逆に言えば、基本の管理を整えるだけで、防げるリスクは少なくありません。そして、その基本の管理は、AIに聞きながら社内で進められる部分が多いのです。
まず自社の「危ないところ」を知る
最初にやるのは、情報の棚卸しです。個人情報や大事なデータが「どこに」「誰が使える状態で」置かれているかを書き出します。AIに聞きながら進めると、抜けやすい項目も教えてくれます。
書き出すデータとアカウント
AIに聞く危険度と優先順位
ルールを決める保存場所と権限
直す設定とツール
毎月見直す退職・異動も
社内の情報とアカウントを書き出し、AIと一緒に危険度で仕分ける
AIへの頼み方(例)
当社は従業員30名の設備工事会社です。情報管理を見直したいので、次の書き出しをもとに助言してください。
・顧客名簿:Excelで共有フォルダに保存。誰でも開ける
・メール:各自のアカウント。二段階認証は未設定
・ネットバンキング:経理2名で同じIDを共有
・退職者のアカウント:止めたかどうか分からない
・サーバーとホームページ:外部業者に保守を委託(月額契約)
お願い
1. 危険度の高い順に、問題点を5つまで挙げてください
2. それぞれ、今週中にできる対策を1つずつ教えてください
3. 自社でできることと、専門家に頼むべきことを分けてください
ここがポイント
AIに渡すのは「どんな状態か」の説明だけです。実際のパスワード、顧客の名前や住所、口座番号は、AIに入力しないでください。状態の説明だけで、十分に的確な助言が返ってきます。
パスワード管理をAIと一緒に整える
パスワードの対策は、次の3つが基本です。どれも専門の業者に頼まなくても、社内で始められます。
これまでパスワードは付箋やExcelに。全員で同じIDを使い回している。
AI導入後パスワード管理ツールと二段階認証を導入。手順書はAIで作って全員に共有。
パスワード管理ツールを入れるときに意外と手間がかかるのが、社員への説明です。「なぜ必要か」「どう使うか」をAIに分かりやすい言葉でまとめてもらい、朝礼や社内チャットで共有すると、定着が早くなります。
パスワードの生成と管理の仕組みをAIで作る具体的な方法と、AIに任せず自分で管理すべきポイントは、パスワードの仕組み化の記事で詳しく紹介しています。
個人情報の管理ルールをAIで作る
個人情報の管理は、「どこに保存し、誰が見られて、いつ消すか」を決めることから始まります。ルールの文書は、AIに下書きを作ってもらい、自社の実態に合わせて直すのが早道です。
顧客名簿を、誰でも開ける共有フォルダに置いている
見られる人を必要な担当者だけに絞り、保存場所を1か所に決める
メールで個人情報のファイルをそのまま送る
送る前に宛先を確認する仕組みを入れ、ファイルは添付せず、見られる人と期限を限定した共有リンクで送る
退職者のアカウントを、そのまま放置する
退職の手続きに「アカウント停止」を入れ、毎月一覧で確認する
AIは、ルールの下書きだけでなく、日々の作業でも役立ちます。たとえば、お客様の資料をAIで要約したいときは、名前や住所を「A様」「〇〇市」に置き換えてから入力する、といった使い方です。こうした社内ルールの作り方は、生成AIの社内ルールの記事でも詳しく紹介しています。
外部委託を見直して、費用を下げる
サーバーやパソコンの管理、セキュリティ対策を外部の業者に委託している会社は多いと思います。専門家の力は大切ですが、「何にいくら払っているのか、よく分からない」という声もよく聞きます。ここでもAIが役に立ちます。
保守契約書や見積書、毎月の作業報告をAIに読ませて、「何をしてもらっているのか」を分かりやすく整理してもらうのです。すると、社内でもできる日常の作業と、専門家に任せるべき作業が見えてきます。
たとえば、従業員30名ほどの会社で、アカウント管理や更新の確認まですべて委託していたものを、日常の作業は社内で行い、委託は「緊急時の対応と年1回の点検」に絞る、といった見直しが考えられます。委託費が月5万円から3万円になれば、パスワード管理ツールの費用を払っても、年間で20万円前後の削減になる計算です。
金額は考え方を示すための試算です。委託の内容や会社の規模によって、適切な範囲と費用は異なります。委託の範囲を減らすときは、社内で担当する人と手順を決めてから、委託先と相談して段階的に進めてください。
今日から始めるチェックリスト
次の項目を確認するだけでも、情報漏えいのリスクは大きく下がります。当社の無料診断では、この棚卸しを一緒に行い、AIを使った社内ルールと手順書の作成、委託範囲の見直しまでお手伝いします。
- 個人情報があるデータの保存場所を、1つの表に書き出した
- 顧客名簿を見られる人を、必要な担当者だけに絞った
- メール・クラウド・ネットバンキングに二段階認証を設定した
- 全員で同じIDとパスワードを使い回しているサービスをなくした
- 法人向けのパスワード管理ツールを入れた(または検討を始めた)
- 退職者のアカウントがすべて止まっていることを確認した
- パソコン・スマホのOSと主なソフトが最新になっている
- 外部委託の契約内容と、管理者権限を誰が持っているかを把握した
この記事は一般的な情報管理の考え方をまとめたものです。個人情報の漏えいが疑われる場合は、個人情報保護委員会への報告が必要になることがあります。被害が疑われるときは、すぐに専門家や関係機関に相談してください。
よくある質問
パスワード管理ツールは安全なのですか?
法人向けのパスワード管理ツールは、保存する情報を暗号化し、管理者が社員の利用を管理できる仕組みになっています。マスターパスワードを長く複雑にし、ツール自体にも二段階認証を設定することが大切です。
AIにセキュリティの相談をしても、情報が漏れませんか?
パスワードや顧客の個人情報そのものは入力せず、「どんな状態か」の説明だけで相談すれば心配はありません。業務で使う場合は、入力が学習に使われない法人向けプランを選びましょう。
外部委託をやめても大丈夫ですか?
すべてをやめるのはおすすめしません。日常の管理は社内で行い、サーバーの設計や不正アクセスの調査など専門性の高い部分は専門家に任せる、という分担がおすすめです。
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