モデルケース2026年10月24日

入札公告から資格と期日をAIで抜き出し、カレンダーで管理。入札期の公告確認と期日管理を、約150時間から45時間に

入札公告の書類からAIが期日を抜き出し、カレンダーに整理するイラスト

ビルメンテナンス業の繁忙期は、年末から3月まで。官公庁の清掃・設備管理・警備といった役務の契約は年度ごとに更新されるため、この時期に入札が集中します。何十、何百という案件の公告を読み、参加資格を確かめ、書類をそろえ、積算をして、期日までに提出する――。この記事では、入札公告・入札説明書から参加資格と期日をAIで抜き出し、案件の一覧とカレンダーを自動で作れるようにしたビルメンテナンス会社のモデルケースを紹介します。

会社
B総合管理/地方都市のビルメンテナンス会社(清掃・設備管理・警備)
規模
従業員120名、入札担当3名
困りごと
入札期(12月〜3月)に約150件の公告を確認。資格の確認と期日の転記に追われ、残業と期日の見落としの不安が続いていた
対象の業務
入札公告・入札説明書の読み込み、参加資格の確認、期日の管理

困っていたこと

  • 公告の読み込みに1件40分
  • 期日の見落としが心配
  • 担当者の残業が続く

やったこと

  • 公告のPDFをAIに読ませる
  • 資格と期日を一覧表に
  • 期日をカレンダーに取り込む

変わったこと

  • 読み込みが1件10分に
  • 期日を全員で共有
  • 入札期の残業が大きく減った

入札期の負担はどこにあるか

B総合管理では、毎年12月ごろから、国・県・市町村・独立行政法人などの入札公告が一斉に出始めます。入札担当の3名は、発注機関のサイトや入札情報サービスで案件を探し、公告と入札説明書を1件ずつ読んで、参加できるかどうかを判断していました。

読み切れない公告と説明書は1件で数十ページ。資格や期日の書き方も発注機関ごとに違う
期日の見落とし参加申請・質問・入札・開札と、1件に期日がいくつもある。1つ落とすと参加できない
担当者に集中する案件の状況が担当者の頭とExcelの中にあり、休むと誰も分からない

とくに怖いのが、参加申請書の提出期限の見落としです。入札日より2〜3週間前に締め切られることも多く、気づいたときには参加できなくなっていた、ということが起こり得ます。

AIを使った新しい流れ(5ステップ)

ポイントは、「読んで、探して、書き写す」作業をAIに任せることです。担当者は、AIが作った一覧を確認し、参加するかどうかの判断と、書類・積算に時間を使えるようになります。

  1. 公告を集めるPDFを案件ごとに保存
  2. AIが読み込む資格と期日を抜き出す
  3. 一覧表にする全案件を1つの表に
  4. カレンダーへ期日を自動で取り込む
  5. 担当者が確認原本と照らし合わせる
山積みの入札公告の書類を前に、期日を手帳に書き写しながら困っている入札担当者のイラスト
これまで公告を1件ずつ読み、資格と期日を手作業でExcelと手帳に書き写す。
AIが入札公告から期日を抜き出し、カレンダーと一覧表で案件を管理している入札担当者のイラスト
AI導入後AIが資格と期日を一覧表に。期日はカレンダーに取り込み、全員で共有。

公告から抜き出す項目

入札公告・入札説明書には、必要な情報が書かれている場所や書き方が発注機関ごとにばらばらです。AIに「何を抜き出すか」を決めて渡すと、どの公告からも同じ形の一覧ができます。

入札公告のPDFから、AIが参加資格と期日を抜き出し、一覧表とカレンダーに整理するイラスト
公告のPDFから、資格と期日を抜き出して一覧表とカレンダーへ
項目抜き出す内容の例
案件の基本案件名、発注機関、業務の内容(清掃・設備管理・警備など)、履行場所、契約期間
参加資格全省庁統一資格の営業品目・等級、県や市の入札参加資格、所在地の条件、同種業務の実績、必要な資格者(建築物環境衛生管理技術者など)
期日説明書の配布期間、現場説明会、質問の締切、参加申請書の提出期限、入札日、開札日
提出方法電子入札か紙か、提出先、必要書類の一覧
注意点最低制限価格の有無、総合評価かどうか、訂正公告の有無

さらに、自社が持っている入札参加資格・登録している営業品目・有資格者の一覧をAIに渡しておくと、案件ごとに「参加できる/条件を確認/参加できない」の判定まで付けてくれます。

ここがポイント

いちばん効果が大きかったのは、期日をカレンダーに取り込めるようにしたことです。AIに期日をカレンダー取り込み用の形式(CSVやiCalendar)で出してもらい、会社で使っているカレンダーに読み込むだけで、全員のスマホに「参加申請の締切」が表示されるようになりました。

AIへの頼み方の例

AIへの頼み方(例) 添付した入札公告・入札説明書を読み、次の項目を表にまとめてください。 項目:案件名/発注機関/業務内容/履行場所/契約期間/参加資格(営業品目・等級・地域要件・実績・必要な資格者)/説明書の配布期間/現場説明会/質問締切/参加申請書の提出期限/入札日/開札日/提出方法/注意点 ルール ・公告に書かれていないことは推測せず「記載なし」と書く ・日付と時刻は「2027/01/15 17:00」の形でそろえる ・資格の条件は、公告の文言をできるだけそのまま書き、記載ページも添える ・下の「当社の資格一覧」と照らし合わせ、参加できるかを「○/要確認/×」で判定し、理由を一言添える 当社の資格一覧:(ここに貼り付け)

一覧ができたら、続けて「この表の期日を、カレンダーに取り込めるCSV形式で出してください。件名は『【参加申請締切】案件名』のようにしてください」と頼めば、カレンダーへの取り込み用のデータができます。

どれくらい時間が減ったか

B総合管理の入札期(12月〜3月)に、約150件の公告を確認するとして試算すると、次のように変わります。

作業(入札期・約150件)これまで(時間)AI導入後(時間)
公告・説明書の読み込みと資格の確認10025
期日の転記と管理表・カレンダーの更新358
担当者どうしの状況確認1512
合計15045

人件費込みの時給2,500円で換算すると、入札期だけで約26万円分の時間です。時間は当社の試算で、案件数や発注機関の書式によって変わります。

時間が減っただけでなく、期日がカレンダーで全員に見えるようになり、担当者が休んでも案件の状況が分かるようになりました。浮いた時間は、積算の見直しや、参加を迷っていた案件の検討に回せています。

注意点と、続けるコツ

失敗例AIが抜き出した期日を、原本と照らし合わせずに使う

避け方期日と参加資格は、必ず公告の原本と照らし合わせる。記載ページを添えさせると確認が早い

失敗例最初の公告だけ見て、その後の変更を追わない

避け方訂正公告や質問への回答で条件が変わることがある。発注機関のお知らせを定期的に確認する

失敗例参加するかどうかの判断までAIに任せる

避け方AIの判定は「目安」として使い、参加の判断と価格の決定は担当者と経営者が行う

始めるときは、昨年度の公告を10件ほど使って、AIの抜き出しが正しいかを試すのがおすすめです。抜き出す項目と頼み方が固まれば、入札期が始まる前に準備を終えられます。公告の多くは公開情報ですが、自社の資格や価格の情報を扱うときは、AIのセキュリティとデータ管理の考え方にそって、法人向けプランで使ってください。

よくある質問

入札公告のPDFが画像(スキャン)でも読み込めますか?

文字が読み取れる画質であれば、画像のPDFでもAIが読み取れることが多いです。ただし、表が崩れていたり文字がかすれていたりすると誤読が増えるため、期日と資格は必ず原本で確認してください。

電子入札システムとつなげられますか?

電子入札システムそのものをAIが操作するわけではありません。公告や説明書をダウンロードしてAIに読ませ、一覧表とカレンダーを作る使い方が基本です。

入札参加資格の情報をAIに入れても大丈夫ですか?

自社の資格や登録内容は、入力が学習に使われない法人向けプランで扱うのが安全です。入札価格や積算の内訳など機密性の高い情報は、社内ルールで扱いを決めてから使いましょう。

※本記事の会社名・数値は、導入の流れを説明するためのモデルケースです。

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