活用事例2026年10月15日

入金消込を、AIで月24時間から8時間に。振込名義のズレも、担当者の記憶に頼らない仕組みへ

銀行の入金明細と請求一覧をAIが照合し、消込済み・要確認・未入金に分けるイラスト

ビルメンテナンスの仕事は、毎月決まった物件から決まった金額をいただく「定額の契約」が中心です。一見かんたんそうな入金の確認ですが、物件数が増えるほど、振込名義のズレやまとめ払いが重なり、月末の経理担当者を悩ませます。この記事では、その入金消込をAIでどこまで楽にできるかを、モデルケースで紹介します。

会社
Cビルサービス/地方都市のビルメンテナンス会社(清掃・設備管理・点検)
規模
従業員25名(うち経理1名)、契約物件 約120件
困りごと
毎月約140件の入金を、経理担当者が通帳と請求一覧を見比べて手作業で消し込んでいた
対象の業務
入金消込未入金の確認お支払いのお願い
使ったもの
ネットバンキングの入金明細(CSV)、請求一覧(Excel)、AI「Claude(クロード)」、今の会計ソフト

困っていたこと

  • 消込に毎月約24時間
  • 名義が違う入金の調べもの
  • 担当者しか状況が分からない

やったこと

  • 明細と請求一覧をAIで照合
  • 迷う入金だけを人が判断
  • 名義の対応表を毎月育てる

変わったこと

  • 消込が月約8時間に
  • 年約48万円分の時間が浮く
  • 未入金一覧がすぐ出せる

ビルメン会社の入金消込が大変な理由

Cビルサービスの請求先は、マンションの管理組合、ビルのオーナー、管理会社などさまざまです。請求書は会社の正式名称で出していても、振込はカタカナの短い名義で入ってきます。

銀行の振込名義と請求先の名前が一致せず、照合に迷う例のイラスト
名義がカナや個人名で入ってくる。金額も手数料分だけずれることがある
名義が違う管理会社名やオーナー個人名で振り込まれ、どの物件の入金か分からない
まとめて入金管理会社が複数物件分をまとめて1回で振り込む
金額がずれる振込手数料が差し引かれ、請求額と数百円合わない

こうした「すぐには分からない入金」の確認は、ベテラン担当者の記憶に頼りがちです。担当者が休むと消込が止まり、未入金の確認や督促も遅れてしまいます。

AIを使った新しい流れ(5ステップ)

会計ソフトも銀行も変えずに、間にAIを入れるだけです。ポイントは、AIに「照合の案」を作らせ、人は「迷う入金」だけを判断することです。

  1. 明細を出すネットバンキングからCSV
  2. 請求一覧を出す今月の請求分
  3. AIが照合名義・金額・日付で
  4. 迷う分だけ確認要確認・未入金
  5. 会計ソフトに登録いつもどおり
入金明細と請求書を1件ずつ見比べて消込に追われる経理担当者のイラスト
これまで通帳と請求一覧を1件ずつ見比べ、分からない入金は付箋で保留。
AIの照合案を確認するだけになった経理担当者のイラスト
AI導入後AIが3つに分けた結果のうち、「要確認」と「未入金」だけを見る。

AIへの頼み方の例と、照合結果のイメージ

毎月同じ頼み方を使うことで、結果の形がそろいます。下の文章と一緒に、入金明細と請求一覧、名義の対応表(後述)の3つのファイルを渡します。

AIへの頼み方(例) 添付の「入金明細」と「今月の請求一覧」を照合して、請求ごとに次の3つに分けてください。 ・消込済み:名義と金額が一致したもの ・要確認:名義か金額のどちらかが一致しないもの(理由を一言) ・未入金:対応する入金が見つからないもの ルール ・「名義対応表」にある振込名義は、その請求先として扱ってください ・金額の差が880円以内なら、振込手数料の差し引きの可能性として「要確認」にしてください ・1回の入金が複数の請求の合計と一致する場合は、組み合わせ候補を示してください ・最後に、結果をExcelに貼り付けられる表でも出してください

AIからは、たとえば次のような表が返ってきます。担当者は「要確認」と「未入金」の行だけを見ればよくなります。

請求先請求額振込名義入金額結果AIのコメント
さくら管理組合66,000サクラマンションカンリクミアイ66,000消込済み名義対応表と金額が一致
○○ビル管理組合110,000マルマルカンリ(カ109,340要確認660円不足。振込手数料の差し引きの可能性
山田ビル33,000ヤマダ タロウ33,000要確認オーナー個人名の可能性。対応表に未登録
みどり台ハイツ44,000--未入金対応する入金なし(前月は25日に入金)
消込済みそのまま登録

会計ソフトにいつもどおり消込を登録する

要確認人が判断する

手数料の扱いや、誰の入金かを確かめて決める

未入金お知らせを送る

入金予定日を過ぎていれば、お支払いのお願いへ

「名義の対応表」を育てるのがコツ

いちばん効くのは、「この振込名義は、この請求先」という対応表を作り、毎月少しずつ育てていくことです。要確認で人が判断した結果を、その都度この表に足していきます。

振込名義(カナ)請求先メモ
サクラマンションカンリクミアイさくら管理組合
マルマルカンリ(カ○○ビル管理組合、△△ハイツ管理会社がまとめて振込。手数料は先方負担の契約
ヤマダ タロウ山田ビルオーナー個人名で振込
ここがポイント

対応表は、ベテラン担当者の頭の中にあった知識そのものです。表にしてAIに渡すことで、担当者が休んでも、新しい人に代わっても、同じように消込ができるようになります。

どれくらい時間が減ったか

毎月約140件の入金として試算すると、消込にかかる時間は次のように変わります。

作業これまで(時間/月)AI導入後(時間/月)
明細と請求一覧の照合143
名義が違う入金の調べもの63
未入金の確認とお知らせ42
合計248

人件費込みの時給2,500円で換算すると、月約4万円、年約48万円分の時間です。時間は当社の試算で、入金件数や名義のばらつきによって変わります。

時間だけでなく、「未入金がいくらあるか」を月初めにすぐ出せるようになったことも大きな変化です。社長に聞かれてから慌てて調べる、ということがなくなりました。

注意点と、人が判断すべきこと

失敗例AIの照合結果を確認せず、そのまま会計ソフトに登録する

避け方AIは案を作るだけ。登録と最終判断は担当者が行う

失敗例口座番号など、照合に不要な情報までAIに渡す

避け方法人向けプランを使い、不要な列は消してから渡す

失敗例手数料の差額を、毎回なんとなく処理してしまう

避け方契約上どちらの負担かを対応表のメモに残し、判断をそろえる

未入金のお知らせまでつなげる

照合で「未入金」になった請求先には、AIでお支払いのお願いメールの下書きも作れます。相手との関係を損ねないよう、ていねいな文面にするのがコツです。

未入金一覧からAIでお支払いのお願いメールの下書きを作るイラスト
未入金一覧から、相手ごとのお知らせ文を下書き
AIへの頼み方(例) 次の未入金の請求先それぞれに、お支払いのお願いメールを作ってください。 行き違いで入金済みの可能性にも触れ、責める言い方は避けて、ていねいにお願いしてください。

よくある質問

AIに消込を全部任せても大丈夫ですか?

おすすめしません。AIには照合の案と、迷う入金の洗い出しを任せ、会計ソフトへの登録や最終判断は担当者が行う分担が安全です。

銀行の明細をAIに渡しても大丈夫ですか?

法人向けプランでは入力内容がAIの学習に使われない設定になっています。口座番号などの照合に不要な列は削除してから渡す、といった社内ルールを決めて使うことをおすすめします。

今の会計ソフトはそのまま使えますか?

使えます。銀行の明細と請求一覧をCSVやExcelで用意できれば、会計ソフトを変える必要はありません。照合結果をもとに、いつもどおり会計ソフトで消込を登録します。

※本記事の会社名・数値は、導入の流れを説明するためのモデルケースです。

御社の消込でも、試してみませんか

無料診断では、入金明細と請求一覧のサンプル(名前は伏せたもの)を使って、AIでの照合をその場でお見せします。全国対応、対面でもオンラインでも。

3分で削減時間を試算する(無料)

あわせて読みたい