モデルケース2026年11月6日

求人票をAIで見直して、応募を増やす求職者の目線で「足りない情報」を洗い出す

総務の担当者がAIと一緒に求人票を見直し、仕事の中身が伝わる求人票に書き直していく様子のイラスト

求人を出しても応募が来ない。人手不足が続くビルメンテナンスや設備の会社では、切実な悩みです。求人票を見直すと、「仕事の中身が伝わらない」「どんな人に来てほしいかが書かれていない」ことがよくあります。この記事では、いまの求人票をAIに読ませて、求職者の目線で見直す方法を、ビルメンテナンス会社のモデルケースで紹介します。あわせて、求人票で気をつけたい決まりごとも整理します。

会社
Iビルサービス/地方都市のビルメンテナンス会社(設備管理・清掃)
規模
従業員60名、採用は総務の兼務
困りごと
設備管理員の求人を出しても、3か月で応募が1件。求人票は何年も同じ文面
対象の業務
求人票の見直し、仕事内容の書き方

困っていたこと

  • 3か月で応募1件
  • 仕事の中身が伝わらない
  • 何年も同じ文面

やったこと

  • 求人票をAIに読ませた
  • 求職者の疑問を洗い出した
  • 1日の流れと条件を書き足した

変わったこと

  • 応募が月3件ほどに
  • 面接での質問が具体的に
  • ミスマッチが減った

応募が来ない求人票に、足りないもの

Iビルサービスの以前の求人票は、「ビルの設備管理業務。経験不問。資格手当あり」という数行だけでした。会社の側には当たり前のことでも、求職者には「1日に何をするのか」「未経験でも本当に大丈夫なのか」「夜勤はあるのか」が分かりません。分からないことが多い求人は、応募の候補から外されてしまいます。

AIは、求人票を「初めて読む人」の立場で読み、疑問に思いそうな点を挙げるのが得意です。書き直しの前に、まず何が足りないかを洗い出させるのがポイントです。

いまの求人票をAIが求職者の目線で読み、足りない情報を洗い出して、伝わる求人票に書き直す流れの図解
求職者の疑問を洗い出してから、書き足す

AIで求人票を見直す流れ

  1. 求人票を渡すいまの文面
  2. 疑問を出させる求職者の目線
  3. 現場に聞く1日の流れ
  4. 書き直す下書き
  5. 人が確認条件と決まり
応募のない求人票を前に、首をかしげている総務の担当者のイラスト
これまで数行だけの求人票で、応募が来なかった。
AIと一緒に書き直した求人票を見ながら、明るい表情で現場の社員と話している総務の担当者のイラスト
AI導入後仕事の中身と1日の流れが伝わる求人票に。

1〜2. 疑問を出させる:いまの求人票をAIに渡し、求職者が知りたいのに書かれていないことを挙げさせます。

3. 現場に聞く:AIが挙げた疑問をもとに、現場の社員に「1日の流れ」「入社後の教え方」「よくある仕事」を聞きます。ここは人にしか分からない部分です。

4〜5. 書き直して確かめる:聞いた内容をAIに渡して下書きを作らせ、条件や決まりごとを人が確かめます。

AIへの頼み方と、出力の例

頼み方の例(まず疑問を出させる) 下の求人票を、ビルの設備管理の仕事を知らない30代の転職希望者の立場で読んでください。 応募を迷う理由になりそうな「書かれていないこと」「分かりにくいこと」を、重要な順に10個挙げてください。 【いまの求人票】 職種:ビル設備管理 仕事内容:ビルの設備管理業務全般 応募資格:経験不問。第二種電気工事士あれば尚可 給与:月給〇〇万円〜(資格手当あり)
AIの出力(例・一部) 1. 「設備管理業務全般」が具体的に何をするのか分からない(点検?修理?巡回?) 2. 1日の流れ(何時に出社し、どこで何をするか)が分からない 3. 夜勤・宿直や休日の呼び出しがあるのか分からない 4. 未経験の場合、どのように仕事を覚えるのか分からない 5. 勤務先は1か所か、複数のビルを回るのか分からない 6. 資格手当の金額と、資格取得の支援があるか分からない 7. 体力的にきつい作業があるのか分からない

Iビルサービスでは、この一覧を持って現場の主任に話を聞き、「常駐先は市内のオフィスビル1か所」「月に4回ほど宿直あり」「入社後3か月は先輩と2人で巡回」といった事実を集めました。

書き直しの前と後

項目書き直す前書き直した後(抜粋)
仕事内容ビルの設備管理業務全般市内のオフィスビル(10階建て)に常駐し、電気・空調・給排水設備の巡回点検、簡単な修理、業者の立ち会いを行います
1日の流れ(なし)8:30 引き継ぎ → 9:00 巡回点検 → 13:00 点検記録の入力 → 15:00 業者の立ち会い → 17:30 引き継ぎ
未経験の方へ経験不問入社後3か月は先輩と2人で巡回します。点検の手順書があり、一つずつ覚えられます
働き方(なし)宿直は月4回程度(宿直手当あり)。休日は月8日以上のシフト制
資格第二種電気工事士あれば尚可資格がなくても応募できます。入社後の資格取得の費用は会社が負担します

数字や手当の金額など、事実の部分は必ず会社の実際の条件で書きます。AIに「それらしい数字」を作らせてはいけません。

書き直したあと、応募は3か月で1件から、月3件ほどに増えました。面接で「宿直のときはどこで休むのか」といった具体的な質問が出るようになり、入社後の「思っていたのと違う」も減っています。

求人票で気をつけたい決まりごと

求人票には、法律で決められた書き方があります。AIの下書きにも、うっかり問題のある表現が入ることがあるので、次の点は必ず確かめましょう。

気をつけること内容
年齢の制限年齢を限った募集は、法律で原則として禁止されています(例外は限られています)
性別の限定「男性歓迎」「女性のみ」など、性別で限る書き方は原則として認められません
明示が必要な条件仕事の内容、契約期間、試用期間、働く場所、時間、賃金、加入する保険などは、求人の段階で示す必要があります
変更の範囲2024年4月から、仕事の内容と働く場所について「変更の範囲」(将来変わりうる範囲)の明示も求められています
実際と違う条件実際と異なる条件を書くことは、トラブルや法律違反のもとになります
ここがポイント

AIに書き直しを頼むときに、「年齢・性別を限る表現は使わない」「事実でない数字は書かない」と条件に入れておくと、問題のある表現が入りにくくなります。最終的な確認は、人が行ってください。

公開する前に、人が確かめること

失敗例AIが作った給与や手当の数字を、そのまま載せる

避け方給与・手当・休日などの条件は、就業規則や実際の条件と照らして人が書く

失敗例「若手歓迎」「体力に自信のある男性」などと書く

避け方年齢や性別を限る表現は避け、仕事に必要なことを具体的に書く

失敗例良いことばかり書いて、大変な点を隠す

避け方宿直や体力が必要な作業など、大変な点も正直に書く。入社後のミスマッチを防げる

この記事は、求人票の見直しにAIを使うための一般的な考え方をまとめたものです。求人に関する決まりは変わることがあります。最新の内容は、厚生労働省やハローワークの案内で確認し、各社の責任で作成してください。

よくある質問

求人票をまるごとAIに書かせてもよいですか?

下書きには便利ですが、給与や手当、休日などの条件は、実際の条件と照らして人が書いてください。AIは事実を知らないため、それらしい数字を作ってしまうことがあります。

AIに求人票を見直させるとき、何を渡せばよいですか?

いまの求人票の文面と、どんな人に来てほしいかを伝えます。個人の名前や、社員の個人情報は入れないでください。

年齢や性別を書いてはいけないのですか?

年齢を限った募集は法律で原則禁止され、性別を限る書き方も原則として認められていません。AIへの頼み方に「年齢・性別を限る表現は使わない」と入れ、公開前に人が確かめてください。

2024年4月から、求人票で何が変わりましたか?

仕事の内容と働く場所について、将来変わりうる範囲(変更の範囲)の明示などが求められるようになりました。詳しくは厚生労働省やハローワークの案内を確認してください。

※本記事の会社名・数値は、導入の流れを説明するためのモデルケースです。

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