モデルケース2026年11月5日

工事写真の仕分けと写真台帳づくりを、AIで黒板の文字を読み取って、1現場16時間から4時間に

たくさんの工事写真の黒板の文字をAIが読み取り、工種ごとのフォルダと写真台帳に整理していく様子のイラスト

工事が終わるたびに待っているのが、数百枚の工事写真の仕分けと、写真台帳づくりです。どの写真がどの工種の、どの段階なのか。黒板を拡大して読み、フォルダに分け、台帳に貼って説明を書く。現場の担当者が、夜や休日にまとめて片づけている会社も少なくありません。この記事では、黒板の文字をAIに読み取らせて写真を仕分け、写真台帳の下書きを作る方法を、設備工事会社のモデルケースで紹介します。

会社
H設備工業/地方都市の設備工事会社(空調・給排水・電気)
規模
従業員30名、現場担当8名
困りごと
1現場あたり数百枚の写真の仕分けと台帳づくりに、担当者が丸2日かかる
対象の業務
工事写真の仕分け、写真台帳(説明文つき)の作成

困っていたこと

  • 仕分けと台帳で丸2日
  • 黒板の文字を目で読む
  • 担当者の残業が増える

やったこと

  • 黒板の文字をAIで読み取り
  • 一覧表にして仕分けた
  • 台帳の説明文を下書き

変わったこと

  • 作業が半日ほどに
  • 抜けている写真が分かる
  • 確認に時間を回せる

写真の仕分けで、時間がかかっているところ

H設備工業の担当者に聞くと、時間がかかっているのは「写真を1枚ずつ開いて、黒板を読む」ところでした。工種、測点や場所、施工の段階が黒板に書いてあっても、ファイル名は「IMG_0123」のまま。拡大して読み、フォルダを作って移す作業を、何百回もくり返していました。

写真を読み取れるAIは、写真に写った黒板の文字を読んで、一覧にすることができます。人が1枚ずつ読んでいた部分を、AIに肩代わりさせるのが、この使い方のポイントです。

工事写真の黒板の文字をAIが読み取り、工種ごとに仕分けて写真台帳の下書きにまとめる流れの図解
黒板の文字を読み取って一覧にし、仕分けと台帳の下書きに使う

AIで仕分けと台帳を作る流れ

  1. 写真を集める現場ごと
  2. 黒板を読ませる一覧表に
  3. 一覧を確認読めない写真
  4. 仕分ける工種・段階
  5. 台帳の下書き説明文
パソコンで工事写真を1枚ずつ拡大して黒板を読み、疲れた様子の現場担当者のイラスト
これまで写真を1枚ずつ開いて、黒板の文字を目で読んでいた。
AIが作った写真の一覧表と写真を見比べながら、落ち着いて確認している現場担当者のイラスト
AI導入後黒板の読み取りはAI。人は一覧と写真の確認に集中。

1. 写真を集める:現場ごとに1つのフォルダに集めます。一度に渡す枚数は、使うAIの上限に合わせて、数十枚ずつに分けます。

2. 黒板を読ませる:写真ごとに、黒板に書かれた工事名、工種、場所、段階、日付を読み取らせ、表にさせます。

3. 一覧を確認する:読み取れなかった写真や、読み間違いがないかを人が確かめます。

4. 仕分ける:確かめた一覧をもとに、工種・段階ごとにフォルダへ分けます。ファイル名の付け替えまでAIに手順を作らせることもできます。

5. 台帳の下書き:一覧から、写真台帳の説明文の下書きを作らせます。

AIへの頼み方と、出力の例

頼み方の例 添付の工事写真(30枚)について、写真に写っている黒板の文字を読み取り、次の列の表にしてください。 ・ファイル名 ・工種(例:空調配管、給水配管、電気配線) ・場所(階・部屋・測点など) ・段階(施工前/施工中/施工後/検査) ・黒板の日付 ・読み取れなかった項目 黒板が写っていない、または文字が読めない写真は「要確認」とし、推測で埋めないでください。
AIの出力(例) ファイル名|工種|場所|段階|日付|読み取れなかった項目 IMG_0412|空調配管|3F 会議室|施工中|10/14|― IMG_0413|空調配管|3F 会議室|施工後|10/15|― IMG_0418|給水配管|2F PS|施工前|10/16|― IMG_0421|給水配管|2F PS|施工中|―|日付(文字が小さい) IMG_0430|―|―|―|―|要確認(黒板が写っていない) ・30枚のうち、要確認は3枚です。 ・「施工前」の写真がない箇所:3F 会議室 空調配管

出力の最後の2行に注目してください。読めなかった写真と、抜けている段階の写真も一緒に出させると、撮り忘れに早く気づけます。H設備工業では、この一覧を現場が終わる前に確かめ、足りない写真を撮り直すようにしています。

黒板が読めない写真への対策

読めない原因対策
黒板が小さく写っている、ピントが合っていない撮るときに黒板を大きめに入れる。読めない写真は人が確かめる
手書きの文字がくずれている工種や場所はなるべく決まった書き方にそろえる。電子黒板を使う
黒板を写していない全景の写真直前・直後の写真から推測させず、「要確認」にして人が判断する
逆光や反射で文字が飛んでいる撮る向きを変える。読めないものは無理に読ませない
ここがポイント

AIに「推測で埋めないで」と伝えるのが大切です。分からないものを「要確認」として残させるほうが、あとで見直す手間が減ります。

写真台帳の説明文を下書きする

仕分けた一覧から、台帳の説明文を下書きさせます。説明文の書き方は、会社の台帳やお客様の指定の形式に合わせて、見本を2〜3件添えるとそろいます。

台帳の説明文を作る頼み方 確認済みの一覧(下に貼る)をもとに、写真台帳の説明文を作ってください。 書き方は、次の見本にそろえてください。 見本:「3F 会議室 空調冷媒配管 施工状況(保温施工前)」 ・一覧にない情報は書き足さない ・1枚につき1行

H設備工業では、1現場あたり丸2日(約16時間)かかっていた作業が、半日(約4時間)ほどになりました。担当者は、浮いた時間で写真の抜けや台帳の中身の確認をしています。

注意点と、やってはいけないこと

失敗例AIに写真を加工させたり、黒板の文字を書き換えさせたりする

避け方写真そのものには手を加えない。公共工事などでは写真の編集が認められないことが多い

失敗例「要確認」の写真を、AIの推測で埋める

避け方読めない写真は人が見て判断する。撮り直しが必要なら現場にいるうちに

失敗例お客様の建物の写真を、ルールなしでAIに入れる

避け方入力が学習に使われない法人向けプランを使い、発注者との取り決めの範囲を確かめる

失敗例AIの一覧をそのまま提出書類にする

避け方一覧と台帳の説明文は、担当者が写真と見比べてから使う

工事写真は、工事の記録であり、お客様の建物の情報でもあります。とくに公共工事では、写真の管理方法が決められていることがあります。発注者の基準や特記仕様書を確かめ、その範囲で使うようにしてください。

この記事は、工事写真の整理にAIを使うための一般的な考え方をまとめたものです。写真管理の方法は、発注者の基準や契約によって異なります。各社の責任で確認してください。

よくある質問

AIは、工事写真の黒板の文字を読めますか?

写真を読み取れるAIなら、黒板がはっきり写っていれば、工種や場所、日付などを読み取れます。小さく写っている、ピントが合っていない、手書きがくずれている写真は読み間違えることがあるので、人が確かめてください。

写真を何百枚も一度に渡せますか?

使うAIやプランによって、一度に渡せる枚数や容量に上限があります。数十枚ずつに分けて渡し、一覧を後でつなげると安定します。

AIで写真の明るさを直したり、黒板を書き足したりしてもよいですか?

おすすめしません。工事写真は記録なので、公共工事などでは写真の編集が認められないことが多くあります。写真そのものには手を加えず、仕分けと説明文づくりにAIを使ってください。

お客様の建物の写真をAIに入れても大丈夫ですか?

入力が学習に使われない法人向けプランを使い、発注者との取り決めや社内のルールの範囲で扱ってください。不安な場合は、発注者に確認してから使いましょう。

※本記事の会社名・数値は、導入の流れを説明するためのモデルケースです。

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