活用事例2026年10月15日

案件の進捗管理を、AIで月40時間から8時間に。営業の日報はチャットで一言。AIが取りまとめて、管理職に毎週サマリーを届ける

営業がチャットで送った日報をAIが案件ごとにまとめ、管理職にサマリーを届けるイラスト

「あの案件、今どうなっている?」。営業が一人ひとり外回りで動いている会社では、管理職が案件の進み具合をつかむのに苦労しています。日報はあっても中身がまちまちで、結局は会議や電話で一人ずつ聞いて回ることになりがちです。この記事では、営業日報をふだん使いのチャットで送るようにし、AIで案件ごとに取りまとめて、管理職に毎週サマリーを届ける方法を、建材メーカーのモデルケースで紹介します。

会社
K建材/地方の建材メーカー(外壁材・内装材)
規模
従業員60名、営業12名、営業課長2名
困りごと
営業が工務店・設計事務所・商社を個別に回っており、案件の進み具合が営業本人の頭の中にしかなかった。課長は毎週の営業会議の資料づくりと聞き取りに追われていた
対象の業務
営業日報案件の進捗管理営業会議の資料
使ったもの
社内チャット(LINE WORKS、Slack、Microsoft Teamsなど)、スマホの音声入力、AI「Claude(クロード)」の法人向けプラン

困っていたこと

  • 案件の状況が見えない
  • 日報が続かず中身もまちまち
  • 課長が資料づくりに月約40時間

やったこと

  • 日報はチャットで一言
  • AIが案件ごとに取りまとめ
  • 毎週のサマリーを自動で作成

変わったこと

  • 課長の集計が月約8時間に
  • 止まっている案件にすぐ気づく
  • 年約96万円分の時間が浮く

営業の案件が見えなくなる理由

建材メーカーの営業は、1つの物件に工務店、設計事務所、商社など複数の相手が関わり、採用が決まるまで数か月かかることも珍しくありません。K建材では、営業がそれぞれのやり方で案件を追いかけていました。

案件が営業の頭の中どの案件がどこまで進んでいるか、本人に聞かないと分からない
日報が続かないExcelの日報は書くのが面倒で、提出が遅れたり中身が薄くなったりする
会議資料づくりに時間課長が毎週、営業に聞き取りをして会議の資料を手作業でまとめている

その結果、止まっている案件や競合に負けそうな案件に気づくのが遅れ、「もっと早くフォローしていれば」という失注も起きていました。

AIを使った新しい流れ(5ステップ)

ポイントは、営業には「書かせない」で「一言送ってもらう」こと、そしてまとめる作業をAIに任せることです。営業がふだん使っている社内チャットに「日報」の部屋を作り、訪問のあとにスマホから一言送るだけにしました。

  1. チャットで一言訪問後にスマホから
  2. AIが取りまとめ案件ごとに整理
  3. 案件ボードを更新段階・次の行動
  4. 課長がサマリー確認要フォローだけ見る
  5. 会議で共有資料づくりは不要
営業一人ひとりに案件の状況を聞いて回り、会議資料づくりに追われる管理職のイラスト
これまで営業一人ひとりに電話や会議で状況を聞き、会議資料を手作業でまとめる。
AIがまとめた案件サマリーを読み、要フォローの案件だけに集中する管理職のイラスト
AI導入後AIがまとめたサマリーを読み、止まっている案件や要フォローの案件だけに声をかける。

チャットの一言が、案件ボードになる

営業が送るのは、「どこで、何をして、次に何をするか」が分かる程度の短い文で十分です。話し言葉の音声入力でも構いません。AIがそれを案件ごとに振り分け、進み具合の一覧にまとめます。

チャットに投稿された営業日報を、AIが案件ごとの進捗ボードに整理するイラスト
チャットの一言を、AIが案件ごとの進捗ボードに整理する

毎週月曜の朝には、AIが次のようなサマリーを作り、課長に届けます。

案件担当段階次の行動状況
A社 外壁材(集合住宅)佐藤見積提出来週の回答を確認順調
B工務店 内装材鈴木サンプル送付施主の反応を聞く順調
C社 改修案件佐藤提案中3週間動きなし。課長同行を検討停滞
D設計 新築物件田中比較検討中競合品との違いを資料で補足要フォロー
ここがポイント

最初に、案件の「段階」(引き合い/提案中/見積提出/比較検討中/受注・失注)を会社として決めておくと、AIのまとめ方がそろいます。営業ごとにバラバラだった言葉が統一されるだけでも、会議の話が早くなります。

AIへの頼み方の例

営業へのお願い(チャットに固定表示) 営業日報は、次の4つが入っていればOKです。短くて構いません。 ・どこに(会社名・物件名) ・何をした(訪問、見積提出、サンプル送付など) ・相手の反応 ・次にやること(いつまでに) 例)A社 外壁材の見積提出。来週火曜までに回答予定。価格を気にしていた。
AIへの頼み方(毎週のサマリー) 添付は、今週1週間の「営業日報」チャットの書き出しです。案件ごとに整理して、次の表を作ってください。 列:案件名/取引先/担当/段階(引き合い・提案中・見積提出・比較検討中・受注・失注)/次の行動/最終更新日 そのうえで、次の3点を課長向けに短くまとめてください。 ・2週間以上動きのない案件 ・競合や値引きの話が出ている案件 ・今週受注・失注した案件と、その理由 ルール ・日報に書かれていないことは推測しないでください ・同じ案件が別の名前で書かれていそうな場合は【要確認】としてください

慣れてきたら、チャットツールとAIをつないで、毎週決まった時間にサマリーが自動で届くようにすることもできます。

どれくらい時間が減ったか

営業課長2名が、案件の把握と会議資料づくりにかけていた時間で試算すると、次のように変わります。

作業(課長2名分)これまで(時間/月)AI導入後(時間/月)
営業への聞き取り・状況確認163
日報を読んで案件を整理122
営業会議の資料づくり123
合計408

人件費込みの時給2,500円で換算すると、月約8万円、年約96万円分の時間です。営業側も、Excelの日報を書く時間が1日15分ほどから数分に減りました。時間は当社の試算で、営業の人数や案件数によって変わります。

時間以上に大きかったのは、止まっている案件に早く気づけるようになったことです。課長が「C社の件、一緒に行こうか」と声をかけるタイミングが早くなり、営業からも「相談しやすくなった」という声が出ています。

注意点と、続けるコツ

失敗例日報を「監視のため」と受け取られる伝え方をする

避け方「課長が手伝うタイミングを早くするため」と目的を伝え、サマリーを営業にも共有する

失敗例長い日報を書かせようとする

避け方4つの項目だけの短い一言でOKにし、音声入力も勧める

失敗例AIのサマリーだけで評価や判断をする

避け方サマリーは声をかけるきっかけ。判断は営業本人と話してから

失敗例取引先の個人の連絡先などまでAIに入れる

避け方法人向けプランを使い、案件の管理に必要な情報だけを渡す

よくある質問

今使っているチャットツールのままで大丈夫ですか?

大丈夫です。LINE WORKS、Slack、Microsoft Teamsなど、社内で使っているチャットに日報用の部屋を作れば始められます。日報の書き出しをAIに渡すところから始め、慣れてきたら自動化を検討します。

SFA(営業管理システム)を入れるのと何が違いますか?

SFAは入力項目が多く、営業に定着しないことがよくあります。この方法は、営業はチャットで一言送るだけで、整理はAIが行うため、入力の負担が小さいのが特長です。将来SFAを入れる場合も、整理された案件データがそのまま役立ちます。

営業が日報を送ってくれるか心配です。

長い文章は求めず、4つの項目だけの短い一言でOKにすることが大切です。サマリーを営業にも共有し、「課長が早く手伝えるようになった」と実感してもらうと定着しやすくなります。

※本記事の会社名・数値は、導入の流れを説明するためのモデルケースです。

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