基礎知識2026年10月30日

GPTsもGemも「スキル」の時代へ。仕事で使えるClaudeのスキル入門。「/」で呼ぶか、自動で働くか。Excel・Word・PowerPointの使いどころ

Claudeが仕事の手順書のパックを使い分けて、Excelの表やWordの報告書、スライドを作っている様子のイラスト

この秋、AIの世界で大きな変化が起きています。ChatGPTでは、自分専用のAIを作る「GPTs」が12月で終了し、「スキル」を含む新しい仕組みに移ることが発表されました。Geminiでも、「Gem」が11月から「スキル」に切り替わります。各社が「専用のAIを作る」から「仕事の手順をスキルにする」方向にそろってきたのです。

Claudeでは、このスキルの仕組みがすでに使えます。この記事では、スキルとは何か、各社の動きの違い、Claudeでの使い始め方、そして標準で入っているスキルのうち、中小企業の仕事でとくに役立つ3つを紹介します。

GPTsもGemも終わり、AIは「スキル」の時代へ

これまでのAIは、「議事録係のAI」「見積チェックのAI」のように、用途ごとに専用のAIを作る使い方が中心でした。ChatGPTのGPTs、GeminiのGemがその代表です。ところが2026年の秋、各社がそろって方向を変えました。

AIこれまでこれから(2026年10月時点の発表・報道)
ChatGPTGPTs(自分専用のGPT)GPTsは12月11日に終了予定。スキルなどを含む「プラグイン」に移行し、GPTsの指示はスキルに移せる
GeminiGem(自分専用のGemini)11月17日から、Gemが自動で「スキル」に切り替わる予定
Claude—スキルの仕組みがすでに使える。ExcelやWordを扱うスキルが標準で入っている
※各社の発表・報道をもとに2026年10月時点でまとめたものです。日程や内容は変わることがあります。

「専用のAI」は、AIそのものを用途ごとに分ける考え方でした。「スキル」は、1つのAIに、仕事ごとの手順書を持たせる考え方です。AIは1つのまま、頼まれた仕事に合わせて手順書を使い分けます。使う側から見ると、どのAIに頼むかを選ばなくても、ふだんの言葉で頼むだけで済むようになります。

GPTsやGemを社内で使っている会社は、移行の時期が近づいています。どのAIを使うにしても、「仕事の手順を書き出してスキルにする」という考え方は共通です。この記事ではClaudeを例に、その考え方と使い方を紹介します。

Claudeの「スキル」とは

スキルは、ひと言でいえば「仕事の手順書のパック」です。中身は、手順や注意点を書いた説明書(SKILL.mdというファイル)と、必要に応じてひな形や計算の決まりなどの資料をまとめたフォルダです。

ふだんClaudeが覚えているのは、各スキルの名前と「いつ使うか」の短い説明だけです。仕事を頼まれて、その説明に合うと判断したときに、はじめて手順書の中身を読み込みます。たくさんのスキルを入れておいても、関係のない仕事のじゃまをしにくい仕組みです。

ふつうの頼み方スキルを使った頼み方
毎回の説明形式や注意点を毎回書く手順書に書いてあるので、ひと言で済む
仕上がり頼み方によってばらつく毎回同じ手順・同じ形になりやすい
社内での使い方詳しい人の頼み方がまねされない手順をスキルにすれば、誰が頼んでも同じ
できること文章で答えるスキルによっては、ExcelやWordのファイルを作って渡す
Claudeが仕事の依頼を受けて、Excel・Word・PowerPointなどの手順書の中から合うものを選んで使う様子の図解
頼まれた内容に合わせて、Claudeが使う手順書(スキル)を選ぶ
ここがポイント

スキルは、以前の記事で紹介した「前提メモ」の発展形と考えると分かりやすくなります。前提メモが「会社の説明」なら、スキルは「仕事のやり方の説明」です。

「/」で呼ぶか、自動で働くか

「スラッシュ」で機能を呼び出す使い方は、Claudeにもあります。ただし、使う場所によって呼び出し方が少し違います。

使う場所スキルの呼び出し方
Claudeのチャット(ブラウザ・デスクトップアプリ)基本は自動。頼んだ内容に合うスキルをClaudeが選んで使う。プラグインに入っているスキルは、入力欄で「/」を打つか「+」を押すと一覧が出る
Claude Code(主にエンジニア向け)「/スキル名」と打つと、そのスキルを直接呼び出せる。自動でも使われる
ExcelやWordのアドイン(Microsoft 365)サイドバーで「/」を打つと、使えるスキルの一覧から選べる
※2026年10月時点の情報です。画面や名称は変わることがあります。

いちばん大きな違いは、呼び出し方を覚えなくても働くことです。「この表をExcelのファイルにして」と頼めば、Excelのスキルが自動で使われます。コマンドを覚えるのが苦手な社員でも、ふだんの言葉で頼むだけで済みます。思ったスキルが使われないときは、「Excelのファイルで」「Wordで」のように、欲しい形をはっきり書くと確実です。

仕事で使えるスキル1:Excel(表の作成・集計)

Claudeには、Excel・Word・PowerPoint・PDFを扱うスキルが標準で用意されています。まずはExcelです。表の作成や集計を頼むと、そのまま開けるExcelのファイルを作って渡してくれます。数式や書式の入った表も作れます。

仕事の例頼み方の例
点検データの集計「この点検結果のメモを、物件ごと・月ごとの集計表にして。異常があった行は色を付けて」
見積の明細表「この作業内容から、数量・単価・金額の列がある見積明細の表を作って。合計は数式で」
売上や経費の整理「このCSVを月別・取引先別に集計して、前年との比較の列も付けて」
頼み方の例(Excel) 添付した点検結果のメモ(物件名・点検日・項目・結果)を、Excelの表にしてください。 ・1行1項目、列は「物件名/点検日/項目/結果/備考」 ・結果が「異常」の行は、薄い赤で塗る ・2枚目のシートに、物件ごとの「異常の件数」の集計を付ける ・メモにない値は推測せず、空欄にする

数式で計算させておけば、あとで数字を直したときも合計が自動で変わります。できあがったファイルは、合計や件数が元のデータと合っているかを必ず確かめてから使いましょう。

仕事で使えるスキル2:Word・PDF(文書の作成・読み取り)

Wordのスキルを使うと、報告書や社内文書を、見出しや表の入ったWordのファイルとして作れます。PDFのスキルは、届いたPDFから表や文章を取り出したり、複数のPDFをまとめたりするときに働きます。

仕事の例頼み方の例
報告書の清書「この作業メモを、見出し・表・写真の説明欄がある報告書にして、Wordで」
社内規程・マニュアル「この箇条書きを、章と番号の付いた社内ルールの文書にして、Wordで」
PDFの読み取り「この入札説明書のPDFから、提出書類の一覧を表にして」

PDFの読み取りは、以前の記事で紹介した入札説明書のチェックリストづくりのような仕事とも相性が良い使い方です。ただし、スキャンした画像のPDFや、複雑な表は読み違えることがあります。取り出した内容は、元のPDFと見比べてから使いましょう。

仕事で使えるスキル3:PowerPoint(説明資料)

PowerPointのスキルでは、社内の説明会やお客様への提案に使うスライドのファイルを作れます。箇条書きのメモを渡すだけで、表紙・目次・本文のスライドに分けて組み立ててくれます。

仕事の例頼み方の例
社内説明会「AIの社内ルールの説明を、10枚以内のスライドにして。1枚に言いたいことは1つ」
お客様への提案「この改善提案のメモを、現状・課題・提案・費用・スケジュールの順でスライドにして」
報告会「この四半期の点検実績の表から、グラフ入りの報告スライドを作って」
会議の前日、資料づくりに追われてパソコンの前で困っている社員のイラスト
これまで資料の体裁づくりに、毎回何時間もかかっていた。
AIが作ったスライドのたたき台を見ながら、落ち着いて中身を直している社員のイラスト
AI導入後たたき台はスキルで。人は中身の確認と手直しに集中。

作られたスライドは、あくまでたたき台です。会社のロゴや決まった色づかいがある場合は、最後に自社のテンプレートに合わせて整えます。毎回同じ体裁に整えたいなら、次の記事で紹介する「自社のスキル」にしておく方法もあります。

使い始めるための設定

スキルは、Claudeの有料プラン(Pro・Max・Team・Enterprise)で使えます。使い始めるまでの流れは次のとおりです。

  1. プランを確かめる有料プランか
  2. 設定を開く「機能」の画面
  3. オンにするコード実行とスキル
  4. ふつうに頼む欲しい形を書く

Claudeの考えている様子が表示される画面では、スキルが使われると「〇〇を使用中」のような表示が出ます。意図したスキルが使われているかの確認に役立ちます。

注意点と、やってはいけないこと

失敗例作られたファイルを、中身を確かめずにそのまま社外に出す

避け方数字・固有名詞・日付は元の資料と照合する。AIが作ったファイルも、確認するのは人の役割

失敗例配布元のよく分からないスキルを、ネットから入れる

避け方スキルは手順書であると同時に、Claudeに作業をさせる指示でもある。信頼できる配布元のものだけを使い、中身を確かめてから入れる

失敗例お客様の個人情報や社外秘の資料を、ルールなしで入れる

避け方法人向けプランを使い、入力してよい情報の範囲を社内のルールで決めておく

公式の案内でも、スキルを入れるときはソフトを入れるときと同じように、信頼できる配布元かどうかを確かめるよう注意が呼びかけられています。とくに、社外のサイトに接続するようなスキルには注意しましょう。

この記事は2026年10月時点の公開情報をもとに、Claudeのスキルの一般的な使い方をまとめたものです。プランの内容や画面、機能の名称は変わることがあります。最新の情報は提供元の公式ヘルプでご確認ください。

よくある質問

ChatGPTのGPTsやGeminiのGemは、なくなるのですか?

2026年10月時点の発表・報道では、ChatGPTのGPTsは12月11日に終了してスキルなどを含む「プラグイン」に移行し、GeminiのGemは11月17日から「スキル」に切り替わる予定です。日程や移行の方法は、各社の公式の案内で確認してください。

Claudeの「スキル」とは何ですか?

仕事の手順や注意点、ひな形などをまとめた「手順書のパック」です。Claudeは頼まれた内容に合わせて必要なスキルを読み込み、その手順に沿って作業します。ExcelやWordのファイルを作るスキルなどが標準で用意されています。

ChatGPTのように「/」で呼び出せますか?

使う場所によります。Claude Codeでは「/スキル名」で直接呼び出せます。チャットでは基本的に自動で使われ、プラグインに入っているスキルは入力欄で「/」を打つと一覧から選べます。

無料プランでも使えますか?

2026年10月時点の公式の案内では、スキルはPro・Max・Team・Enterpriseの有料プランで使える機能とされています。また、設定で「コードの実行とファイルの作成」をオンにする必要があります。

スキルが使われないときは、どうすればよいですか?

「Excelのファイルで」「Wordで」のように、欲しい形をはっきり書いて頼んでみてください。設定の「機能」の画面で、そのスキルがオンになっているかも確かめましょう。

自社専用のスキルは作れますか?

作れます。Claudeとの会話で自社の手順やひな形を伝えると、スキルのファイルにまとめてもらえます。作り方は、実用編の記事で紹介しています。

※本記事の会社名・数値は、導入の流れを説明するためのモデルケースです。

Claudeのスキルを、自社の仕事で試してみませんか

無料診断では、ふだんの仕事を1つ選んで、Claudeのスキルで表や報告書を作るところまでその場でお見せします。全国対応、対面でもオンラインでも。

3分で削減時間を試算する(無料)

あわせて読みたい